「教える」という名の学び
教室を開設して、早いもので2年の月日が流れました。
振り返れば、行きつ戻りつしながらの、ゆっくりとした歩みだったように思います。どんなお手本が心に響くのか。この運筆をどう言葉にすれば伝わるのか。一人ひとりの個性をどう引き出すべきか――。悩み、迷い、試行錯誤を繰り返すうちに、あっという間に過ぎ去った2年間でした。
最近になって、少しだけ肩の力を抜いて、自分の歩みを俯瞰してみようという気持ちが芽生えました。そこで改めて気づかされたのは、私の教室に通ってくださる生徒さんたちは皆、本当に「学び上手」だということです。
私が伝えたことを、まずは素直に受け止めてみようとする真摯な姿勢。納得のいく一文字が書けた時の、ぱっと輝くような表情。思うようにいかなくても「もう一度」と筆を取る前向きさ。教室には、そうした小さな努力の積み重ねが満ちています。
書道はときに難しく、何枚練習しても理想の線が出ないこともあります。それでも皆さんは、本当に楽しそうに書に向き合っている。かつて私が繰り返し伝えていたことが、いつの間にか無意識にできるようになっている。そのたびに、「教える」立場であるはずの私のほうが、実は多くのことを学ばせてもらっているのだと痛感します。こんなにも素直に、楽しんで筆を動かしている姿を目の前で見られること。それがどれほど有り難いものか。改めて感謝の気持ちでいっぱいになります。
今、改めて思い出す言葉があります。
「たった一人からでもいいから、教える経験をしてください」
師範の資格をいただいた際の祝賀会で、会長先生が贈ってくださった言葉です。
当時はその真意を、まだ十分に理解できていませんでした。けれど今、ようやくその言葉の意味が、少しだけわかりかけた気がしています。教えるということは、単に技術を切り売りすることではありません。人が成長していく姿を通して、自分自身もまた磨かれ、学び続けていくこと。そんな尊い時間を生徒さんからいただいているのだと思うと、背筋が伸びる気持ちです。
さあ、4月です。
私も生徒さんたちと共に、新しい気持ちで真摯に書と向き合っていきたいと思っています。
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