願いが叶いますように

昨日は七夕でした。今年は令和七年七月七日のスリーセブン。

いつもより七夕を意識された方も多かったのではないでしょうか。


七夕は五節句のひとつで、「たなばた」または「しちせき」とも読みます。日本の「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と、中国から伝わった「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が結びついて、今の形になったといわれています。私たちは子どもの頃から、「一年に一度、七月七日の夜にだけ天の川を渡って会うことができる織姫と彦星の物語」として、この季節の風物詩を楽しんできました。


七夕の夜、短冊に願い事を書くとき、多くの人が言葉の最後を「〜ように」で結びます。「健康で過ごせますように」「夢が叶いますように」「大切な人が笑顔でいられますように」。その「〜ように」の先には、目には見えないけれど、「祈ります」という思いがそっと添えられているのでしょう。


子どもの頃から自然に書いてきた、この「〜ように」には、日本人らしい祈りの形が表れています。自分の力だけでは届かないかもしれない思いを、最後は八百万の神に託す。短冊に願いを書くことは、自分の思いを確かな言葉にしながらも、その先を空に預ける行為です。「〜ように」という言葉には、目に見えないものを信じ、他者や自然とつながっていたいという私たちの願いが込められているように思います。


今年の七夕はちょうどお稽古の日でしたので、みんなで短冊をしたためました。字の上達を願う正統派から、お子さんの幸せを祈るもの、動物を思いやるもの、推しのライブ当選や現実的なお金のことまで!さまざまな願いが笹の葉に結ばれて、とても幸せな七夕になりました。


言葉にして書くことは、自分の心を整え、誰かの幸せや自分の未来をそっと空へと手渡すこと。短冊に書いた願いが、新しい自分との約束になりますように。 

柚墨庵 Yubokuan

字を書くことが好きになる。 自分で書く字を好きになる。 ふだんの暮らしを、書のある暮らしに。 杉並の小さな隠れ家で 書のレッスンをはじめてみませんか。