「すみからすみまで墨のおはなし」開催しました!

9月27日(土)の午後、女子美術大学・杉並キャンパスにて「すみからすみまで 墨のおはなし にぎり墨体験ワークショップ」を開催しました。


当日はよく晴れて、9月の終わりだというのに、じんわりと汗ばむような陽気。そんな中、10歳から81歳まで、実に幅広い世代の方々17名の皆さんが集まってくださいました。


初めはみなさん少し緊張した様子で、静かに席に座っていらっしゃいました。けれど、奈良で150年以上続く墨屋「錦光園七代目の長野睦さんが話し始めると、空気ががらりと変わります。墨の歴史や文化に加え、職人さんならではのエピソードをユーモアたっぷりに語ってくださり、いつの間にかみなさん身を乗り出して聞き入っていました。


そして、お待ちかねの「にぎり墨体験」。あたたかい生墨を手に取り、ぎゅっと握る瞬間の驚きと笑顔は忘れられない光景でした。「わあ、柔らかくて気持ちいい!」「手の跡がそのまま残るのが面白い!」と声が上がり、自分の作った“にぎり墨”を見せ合いながら自然に会話が広がっていきます。世界に一つだけ、自分の手や指紋の形が残る墨を作る体験は、世代を超えて新鮮な驚きをもたらしたようです。


また、長野さんが持参してくださったいろいろな種類の「試し墨コーナー」も大人気。濃くて深い墨色に驚いたり、ふわっと香る墨の匂いを楽しんだり。10歳の女の子のパパが、真剣に名前を筆で書く姿を家族みんなで見守っていたり、「この墨が書きやすい〜、今度買ってみよう!」と盛り上がったりと、会場は和やかで賑やかな雰囲気に包まれました。


今回のワークショップは、「墨をつくる体験」を楽しむだけでなく、墨の歴史や現状を知るきっかけにもなりました。自分の手で握った墨と一緒に、参加者一人ひとりが新しい発見を持ち帰ってくださったように思います。この体験が、墨や書道を少しでも身近に感じてもらえる入り口になっていたら、心から嬉しく思います。

柚墨庵 Yubokuan

字を書くことが好きになる。 自分で書く字を好きになる。 ふだんの暮らしを、書のある暮らしに。 杉並の小さな隠れ家で 書のレッスンをはじめてみませんか。