間合いとリズム

先日、落語にお誘いいただいて浅草の木馬亭へ行ってきました。 

 当日の出演は5名。師匠の落語家さん以外の4名は、本業のお仕事をしながら落語を勉強中の皆さん。忙しいお仕事の合間を縫って頑張って練習されたのだな、、ということがひしひしと伝わる落語でした。そして大トリは師匠。ここでお弟子さんとの圧倒的な差を見せつけてくれました。面白かった!

帰宅してから、師匠とお弟子さんの面白さの違いは何だったのかな、と考えてみました。 


 一つ目は「間合い」。師匠の落語には、観客がその場面を想像するための「間合い」が随所に盛り込まれていました。落語は映像も音楽もなく、噺家さんの言葉だけで観客は想像を膨らませます。想像するには、脳が言葉の内容を理解しイメージするための時間が必要です。そのほんの小さな時間が「間合い」であり、これが観客の「面白い!」という感情を引き出します。

 二つ目は「リズム」。師匠は、声の大きさと話すスピードを自在にコントロールしていました。この心地よいリズムが観客の心を掴み、話にグイグイと引き込ませていたのでしょう。 


 「間合いとリズム」は書作品でも同じこと。「間合い」は書で言う「余白」に通じます。どんなに良い字も、紙の余白部分が少なすぎると見る人は少し息苦しく感じます。かといって多すぎる余白も文字が引き立ちません。墨で書かれた黒と余白の白の適切なバランス、そして筆跡から感じられるリズムが絶妙に調和した時、見る人を惹きつける作品になるのではないかと思っています。


さて、私も展覧会に向けて頑張らなくちゃ。

柚墨庵 Yubokuan

字を書くことが好きになる。 自分で書く字を好きになる。 ふだんの暮らしを、書のある暮らしに。 杉並の小さな隠れ家で 書のレッスンをはじめてみませんか。